Indonesia / 2 min.

バリのお供え物屋さん

迷い込んだ路地裏で見つけた、心の静寂

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以前、バリの街角を何の目的もなしにフラフラ彷徨っていたときにこんなことがありました。
周囲のピースフルな風景とは裏腹に、強烈な敵意でこちらを威嚇をしてくる野良犬たちに追いかけまわされた僕は、逃げるように街を追われ、見知らぬ通りに迷い込んでしまいました。 よく分からないところに来てしまったなぁと途方に暮れていると、近くの家からお香のかぐわしい香りが。その香りに導かれるようにフラフラと家に近づいてみると、一人で黙々とお供え物をしている女性がいました。

動きはまろやかで力みがなく、動作一つ一つが美しさをもっていました。
その美しさは、この土地の風土や受け継がれた歴史のようなものも纏っているようにも感じられました。

すっかりと見惚れてしまった僕は、数分前の野良犬の恐怖は脳の彼方に消え去り、心穏やかにじっくりとその時を感じていました。

この数日前に取材をさせてもらった、バリの方に言われたことが、ふと頭に浮かんできました。

「バリにはトリ・ヒタ・カラナという言葉があってね、神と人、人と人、人と自然、この3つの繋がりを表しているんだよ。その3つが一緒になって初めて本当の調和が生まれるんだよ。」

バリに行くと懐かしい気持ちになる、とよく言ったりもしますが、日常的にこのような伝統的な教えが垣間見えたり、調和を大切にしていることが肌身を通して感覚的に伝わってくるからこそ、穏やかな懐かしい気持ちになるのかもしれません。

バリ滞在の最終日、仲良くなったおばちゃんにお供え物について聞いてみると、

「神棚や祠など上の方へのお供え物は神様へ、下の方へのお供え物は魔物へ。
バリヒンドゥーでは「2極」や「2面性」という教えがあって、この宇宙には必ず正反対なものが存在し、どちらかに偏ってはアンバランスであり良くないとされているんだよ。
だからみんな神様にだけではなく、魔物にもお供えをして、平和に過ごせるようにお祈りするんだよ」

と教えてくれました。

ヒーローだけじゃなくて悪役にも感謝しちゃう懐の深さが、生きとし生けるものすべてを受け入れるバリ独特のおおらかさを生んでいるのかもしれませんね。

P.S. 僕はあの敵意丸出しの野良犬と仲良くすることはできるだろうか?......
調和......受け入れる.......簡単ではない......

STORY: Takahito Mizuno (WORLD FESTIVAL Inc.)
Cam + Edtit : Takahito Mizuno (WORLD FESTIVAL Inc.)