破壊された文化と、失われた教育
カンボジアの芸術文化は、1970年代のポル・ポト政権(クメール・ルージュ)下で、壊滅的な打撃を受けました。アーティストや知識層は集中的に虐殺され、アンコール王朝から続く伝統美術や表現の自由は完全に否定されました。全人口の約4分の1を失った悲劇の記憶は、今なおこの国の教育制度の中に色濃く残っています。
時代の過酷なうねりは、幼いヒーアの暮らしを一変させました。5歳で家族と離れ、寺院や孤児院で育つという環境にありましたが、彼は自らの手で未来を切り拓いていきました。孤児院で日本語を学び、自力で道を切り拓いてきた彼は、その過酷な境遇を「不幸」としてのみ捉えることはしませんでした。彼が何より大切にしてきたのは、「自分で自分に微笑む」という、内なる精神の強さでした。






